孫っきゃ騎士@さようなら

禿げたアタマ

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たいむ あふたー たいむ 9

橋の手前でうつむいて立っている彼女を見つけたのは、グランドフィナーレの真っ最中だった。夜を忘れるくらい、辺りは明るく輝きを繰り返す。うつむく彼女の姿はハイライトをくっきりと浮かばせていた。花火が上がるたびに彼女の影が伸びている様な気がした。僕は、携帯を口元に寄せると息の上がった声で静かに、見つけた、と言うと、携帯を畳んでポケットに入れた。

僕が彼女の前に立っても、彼女は顔を上げなかった。ただただ、うつむいて小さく小刻みに震えている。彼女の様子に気をとられていると、今までにない爆発音が僕の胃の奥までも振るわせた。それと同時に辺りは全ての闇を追い払い、白い光で輝いて見せた。大歓声があがり、拍手は、しばらく鳴り止まなかった。

彼女は、こんなに小さい肩をしていただろうか?いつも穏やかに笑って、時には僕をためらいもなく叩いたりもする、快活で朗らかな彼女。その肩は、こんなに弱々しかったのだろうか?思わず抱き寄せたくなるくらい小さい肩が、目の前で不規則に震えている。こんな時、僕に何が出来るだろう?僕は彼女の為なら何でもするつもりなのに、何をすれば良いのかわからない。

「どうしたの?」

やっと言葉を振り絞った。辺りは、花火大会の余韻も早々に帰りの身支度をする人達のたわいもない会話で溢れていた。さっきまでの華やかさが嘘みたいに、いつもより夜の暗闇が深く思えた。

彼女は黙って、うつむいたまま首を振った。何かを忘れたいみたいに、思い出したくもないと言わんばかりの必死さで頭を振っているような、そんな風に僕には思えた。

「そっか。わかった。もう何も聞かないから」

彼女は、うつむいたまま黙っていた。

「花火大会も終わったみたいだし、一緒に帰ろう」

僕は、そう言うと彼女の右手を捕まえた。彼女の手は冷たかった。僕は優しく、でも、しっかりと彼女の手を握って、彼女を引っ張るように、人の流れに沿って歩き始めた。すると、僕の後ろで彼女の嗚咽の音が大きくなったのに気が付いて、慌てて振り向くと、今まで見たこともないくらいに大きく震えて、彼女は泣きじゃくっていた。鼻水をすする音が、ときおり聞こえる。


彼女は、僕が振り向いたのに気付いたのか、嗚咽交じりの鼻の詰まった泣き声で

「ありがとう、ありがとう、ホントにごめんなさい」

と繰り返した。何に対して、ごめんなさいなのかは、僕には検討もつかない。呼ばれたら、すぐに駆けつけるよ。いつだって、どこだって。感謝もしなくて良いし、後ろめたさも持たなくっていいんだ、そんなものは。僕が好きでやってるんだ。いつだって君の傍にいく、必要とされるなら。

傍から見れば、僕は泣いた彼女を黙って引きずって歩く酷い彼氏にでも見えたかも知れない。それでも僕は、彼女の手を黙って引き続けた。そして、いつしか彼女が手をしっかりと握り返してくれるようになった時、僕の心臓は止まるんじゃないかと思うくらい、早くて大きな脈動を打ち始めた。普段は、付いてるかどうかもあやしい心臓は、こうやって僕に教えてくれる、生きてることや本物の幸せを。

そうなんだ、僕は生まれて初めて、自分から誰かの手を握ったんだ。
それは、ごく単純に、ごく自然に、相手が君だったから出来たんだと思う。
君に出会わなければ、僕の手は、一生、誰も触れようとはしなかっただろう。

好きなんだ。きっと、どうしようもないくらい。
| 創作小説 | 23:51 | comments(0) | trackbacks(0) |
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