孫っきゃ騎士@さようなら

禿げたアタマ

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たいむ あふたー たいむ 8
彼女から電話があったのは、それからしばらくしてのことだった。

僕は、なるべく人の通りの少ないところを探しては見たものの、やはり、何処へ向かっても人で溢れているので、潔く諦め、土手の上から立ち止まって花火を眺めることにした。花火が大きく弾けて、光の雫が夜空一杯に飛散するたびに、周りの人達の笑顔が綺麗に浮かび上がって見えた。それは、まるで静止画みたいにマブタに残る。誰もが幸せそうに見えた。実際に誰もが幸せなんてことはありえないだろう。でも、少なくても僕の、いま、この目で見渡せる限りには、笑顔と喜びと愛情しか見えない気がする。勿論、僕も例外ではない。僕だって幸せなのだ。

あえかな花火の残光に見る幸福は、決して僕自身への慰みでないと、僕は思う。本当に幸せなのだ、僕は。衝動的に泣きたくなった。目の奥に熱いたまりを感じ、それは僕の幸福の風景を滲ませ霞ませていく。

不意にポケットから振動を感じた。携帯電話が呼んでいる。僕は折りたたみ式の携帯をポケットから取り出し、開いてみた。彼女からの着信だった。僕は、一瞬、躊躇したが、ゆっくりと携帯の通話ボタンを押し、それを耳に運んだ。携帯からも花火の音が聞こえる。彼女は無言のままだった。

「もしもし」

僕は小さな声で言った。周りの喧騒に負けないくらいの声で言うべきだったのかも知れない。けれども、小さく話さなければならない気がした。彼女は黙ったままだった。



「どうしたの?」

と僕は乾いた声で聞いた。彼女は相変わらず黙っていたが、よく耳を澄ますと、かすかに嗚咽らしき息遣いを感じる。携帯電話を通して、彼女が震えている様子が伝わってくる。うつむきながら、この夜の何処かで、彼女は今、泣いている。考えるよりも先に言葉が出る。

「どこにいる?すぐ行くから」

彼女は、湿っていて崩れそうな声で

「…橋んとこ」

と小さく答えた。

普段、走ることなどほとんどない。もう何年も走ったことはない様な気がする。そもそも走らなければならないほど、何かに夢中になったのは、もう何年も昔の話だ。

人が多く集まる場所は苦手だった。僕は常に人の流れに乗って生きている。流れに逆らったり、目立った行動は極力避けてきた。障害は避けて通る。波風は、やむまで待つ。息を潜め、時間が流れるのに全てを任せてきた。でも、今の僕は、花火に見とれる人の群れを掻き分けながら、必死に進んでいる。これまでの自分自身に抗う様に。もういいんだ、と思った。僕は、もう、逃げても隠れても後悔するに決まっているんだ。だから、もう、周りを気にせず走れるんだ、と思った。子供の時みたいに。ゴールなんかなくっても、よく走ってたじゃないか、僕は。走る理由が出来て嬉しいとも思った。

あっという間に息が切れた。胸が痛い。脇腹も痛い。汗も出てきた。太腿とふくらはぎが、すぐに弱音を吐いた。それでも、僕は立ち止まらずに走り続けた。すると、今までになく花火が次々と打ちあがっているのを感じた。どれも大きな音を立てて、僕の道を明るく照らす。次から次へと休むことなく、弾けるように花開く。おそらく、グランドフィナーレなのだろう。人々の、これまで以上の歓喜にも似た感嘆が、そこら中から上がっていた。
| 創作小説 | 23:50 | comments(0) | trackbacks(0) |
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