孫っきゃ騎士@さようなら

禿げたアタマ

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たいむ あふたー たいむ 7

「あれ?サユちゃんは?ビール買ってきたのに」

と友達が右手に持ったビニール袋を、ちょっとだけ上げてみせた。

「サユ、約束があるんだって。俺も君達の邪魔するほど野暮じゃないから、唐揚げとビールを頂いたら、どこかに消えます」

と笑顔で言ったら

「ヒロキって、鶏肉だけは譲らないよな」

と友達は笑って答えた。

この川は、僕の住んでる市街の、ちょうど中心を割るように流れている。
川沿いには何キロにも渡って、丘状に土手が続いており、花火大会は、隣町とこの街とを結ぶ橋の下の運動場に大会本部を置き、川を挟んで隣町側の岸から花火を打ち上げる。夏休みの中頃、ちょうどお盆で帰省してきた大勢の人達で、街が、しっとりと賑わうこの時期に花火大会は毎年行われている。

僕は毎年、仕事で盆も正月もない生活をしている人間なので、花火大会には、この街に越してきてから、全く縁がなかった。けれども、今年は休みを取ることにした。特に彼女と一緒に花火を見ることを期待していた訳ではない。別に相手が僕でなくても全然かまわない。彼女がいちばん居たい相手と見るべきだし、彼女が幸せそうに笑ったり、花火を見て綺麗だって感嘆を漏らすなら、僕はそれで充分満足だ。ただ、一緒にではなくても同じものを見ていたいと思ったのだ。仕事を入れてしまっては、花火を見ることは出来なくなってしまうから、きっと後で彼女の顔を見ては口惜しい想いをするだろう。

カウントダウンが始まり、午後7時と同時にスターマインが打ち上げられた。色とりどりの美しい炎が一瞬の煌きを放つ。闇夜のキャンパスに描かれる星色に輝くクレヨンの火花。生まれては消え、生まれては消え、それは儚く、そして美しい。存在を誇示する鼓膜ごと身体の骨組みごと振るわせる音は、大き過ぎて、僕は静寂に包まれる。これだけの人がいるのに、何も聞こえない。ただ体が振動することで花火が鳴っているのがわかる。僕は、3缶目のビールを口に運んだ。

「サユちゃんのこと、いいの?」

不意に友達が、そう言ったのを聞いた。僕はビールを飲み続け、聞こえない振りをしてみせた。友達もそれ以上は何も言わなかった。

3缶目のビールも底をつきそうな感じになり、僕は友達が買ってきた唐揚げを右手でつまんだ。まだほんのり温かいけど、油でベトベトなのが分かった。あまり美味しそうではなかったけれど、そのまま勢い良く口に頬張り、ニ、三回噛んだ後で、缶に残ったビールを全て流し込んだ。これを食べ終わったら、とりあえず向こうへ移動して花火でも見るかな、と考えていた矢先、次の花火が上がるまでの間に

「俺たち、結婚することになった」

と、友達がハッキリとした大きい声で僕に告げた。僕は嬉しかった。黙って彼の右手を取ってギュっと握り、普段は相手と目を合わせるのが頗る苦手だけど、この時ばかりは、彼の目を見据えて

「おめでとう。本当におめでとう」

と言った。彼の花火の光で照らされた顔は、今までみてきた彼のすっきりとした造りの顔の中でも、いちばん清々しいものの様に思えた。彼とは長い付き合いだし、彼女との馴れ初めから結婚に至るまで、いちばん近くで見てきたのは僕だと自負している。彼は、僕なんかと違い真っ直ぐで素直で優しい男だ。きっと幸せな家庭を築くだろう。僕まで、幸福感に満たされた様だった。僕は、彼の彼女、いや、奥さんにも、おめでとう、よかったね、と伝え、詳しい話は、また後日聞くことを二人に約束すると

「じゃあ、俺、向こう行くわ。新婚夫婦水入らず、楽しんで」

そう言って、ビールの空き缶を持ち、立ち上がって、その場を去ろうとジーンズの後ろの方を払った。突然、今まで見たこともない様なピンクの光が煌びやかに降り注ぎ始めた。何事かと思って、空を見上げると、ハートの形をした花火が、次々と、夜空に舞い上がっている。女の子の綺麗っていう感嘆が、あちらこちらから聞こえてきた。もちろん、友達の彼女も、そして彼女もそう思っているに違いないと思った。僕は、ハート型の花火が消えるのを見届けてから、その場を後にし、宛てもなく斜面を登って、土手の上で花火を見ながら散策することにした。別れ際、僕の握った友達の手が、油で妙なてかり方をしているのを見て、少し笑った。
| 創作小説 | 23:49 | comments(0) | trackbacks(0) |
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